コードと和声学

曲がどんな構造でどんな和音が使われているのかっと調べる事をアナリーゼとか言います。

 

その時に和音を理解するのにコードとか和声学が必要になってきます。

「和声学なんていらない」って人もいますが、話した感じ芸大和声の1巻程度をやっただけの人が多いです。ごく少数は天才か、めちゃくちゃ色んな曲を勉強されている方です。

 

コードは和音を基音から構造を示したシステムです。

例えば

・Cならドなので、ドミソとなります。

・Dならレファ#ラです。

・Eならミソ#シです。

 

和声学はスケールの音をそれぞれ基音として和音を構築していきます。

CDEFGAHCなら

・Cは1番目なのでⅠと表記し、構成音はドミソ

コード表記はC

・Dは2番目なのでⅡと表記し、構成音はレファラ

コード表記はDm

・Eは3番目なのでⅢと表記し、構成音はミソシ

コード表記はEm

 

ちなみにジャズメソッドならそれぞれ

Ⅱm

Ⅲm

と表記します。

 

つまり、コードは和音の構築について簡易化した物で、縦の積み方に強く、

和声学はスケール上の和音構成について簡易化した物で、横の流れに強いです。

 

要するに、コードは単語で、和声学は文法と言った感じをイメージしていただければ分かりやすいと思います。

 

そのため重なってる音を理解するだけならコードさえ知っていれば良いのですが、それに伴って弊害が現れるのでそれについていくつか挙げていきたいと思います。

 

 

・増6和音 裏コード

トルコ行進曲 イ長調に入る直前(48小節目)

FとDis とCの音が使われています。

コード表記ならF7としか書けないのですが、F7はF A C E♭で、D#ではありません。

これは増6和音と呼ばれる物で、Fから6番目のDに#のついた進行になります。

Cの音を半音下げてやる(F A B D#)とわかりますが、これはちょうどドッペルドミナント(B7)の5度の下方変位(B7-5)と同じになります(フランスの増6。)。要するに導音の働きをしているため#で書く必要が出て来るわけですね。

 

これを多種多様な調性で用いる事で両方の読み方が出来るため、ワーグナートリスタンとイゾルデが印象的な事からトリスタンの和音と呼ばれていたりもします。

※追記 トリスタンの和音は増6で連続で転調する際に限ります。

(余談ですがこの9thの下方変位した和音に9thをつけて、ドミナントに使う物がイキすぎコードなんて呼ばれているとか。)

 

ちなみに、ドラクエのBGMで有名なすぎやまこういちさんは、クラシック風の曲の際、この音をdim7で処理します。(dim7はdimでも可)

D#dim7/F#あたりかな。よくコードの本にはdimは全て展開系は4つとも同じコードになると書かれており、これならF#dimで良いんじゃないの??っと思われた方もいるかもしれませんがそれがダメな理由は後述します。

 

何はともあれこのD#とE♭のように、こう言った#や、♭の表記が異なり、同じ高さの音を示している物を異名同音と言います。

これをジャズでは裏コードの♭で書いて、吹奏楽作品の際は増6和音の#で書き分ける作曲家も居ました。

僕は非和声音の都合で書き分けるようにしています。

 

C#7/F

たまーーにギターとかの譜面で見かける書き方です。

#系と♭系が混じってます。

ベースはドミナントの3度のため、導音となります。

F#に行くならE#、Gbに行くならFです。

なのでこの書き方は文法がわからない。

 

・ディミニッシュ

これは減七と呼ばれる和音で、和声学では、短調のⅤ9の根音省略系で考えられています(ハ短調ならソシレファラ♭のソが省略)

 

要するにセカンダリドミナントセブンスコード扱いになりますので、構成音が変わって来るんです。

コードだけなら構成音のBdim Ddim Fdim G#dimはどれも同じ高さの音になりますが、それぞれC Eb Gb Aの各キーに存在していることになります。

そのため構成音は、シレファラ♭ 、レファラ♭ド♭、ファラ♭ド♭ミ♭♭、ソ#シレファとなります。

 

よって最初の増6和音で取り上げたイ短調のAm/Eに入る際、D#dim/F#と書く必要があったんです。

F#dimだとファ#ラドミ♭となってしまい、Dis-Eの導音を失ってしまいます。

 

このように音楽を見る際は、文章を読むようなもので、コードは単語、和声は文法のような関係になります。

和音を理解すると言うのは、積み方以外に連結が重要になってくるため、異名同音を正しく使い分ける事で調性や表現を読み取ることにも繋がっていきます。

そのためより理解を深める為には、両輪で勉強を進める事を私はお勧めします。

 

ちなみに勉強の仕方は、何か解説の文章を読んでわかった気になるのではなく、基礎をやったら、和声学はひたすら書く、コードはひたすら読むの繰り返しです。

そう言う意味ではコードと言うのは勉強しやすいですね。

 

なんだかコードだけやれば良いとかって、英語の勉強は単語だけやればわかるとか、数学は公式さえ覚えれば良いって言うのに似ているなーっと思ってます。